TAROT WITH COSMOS〜M.Cタロットの詩〜part2〔8力〜14節制〕
8 力
キャッツアイ 光る眼が 闇で獲物を狙う
野生の獣の 汚れなき欲望
忍び寄り 捕らえる 純粋な本能
恋につまずいた時 寂しさに打ちひしがれた時
遠くで呼ぶ 懐かしい声 耳を澄ませば
優しさの光に照らされた朝
泣きぬれて 眠れない夜
怒りで震えた ジェラシーさえも
自然という 神の造形した 美しいデジャヴ
愛という絶大なパワーをコントロールして
乙女は 夢の実現を叶えるでしょう
手にあまる 喜怒哀楽を飼いならして
休息すれば
奇跡を起こせる それは優雅なる力
9 隠者
カンテラ照らして 名もなき海岸
あの夜出会った
名も知らない隠者の足跡だけ
傷心捨てきれず 都市の喧騒から逃れたかった
檸檬色のカクテルは 行き場のない恋を忘れる薬
此処では星がきれいに見える 望遠鏡で見るように
海を隔てた荒野で 人魚の物語を思い出す
その昔 美しい声と引き換えに恋を夢見た
私はその幻の歌声に 想いをはせて慰められた
誰にも言わないで この恋の魔法が解けるから
そう時折 あなたには打ち明けに来るから
苦しいときは この洞窟に 隠れていたい時がある
夜に訪れ 星の話 歴史や精霊の聞いたこともない話を
伝えてくれる隠者 彼が何処から来て何処へ行くのか
誰も知らない 道先案内人のアルケミスト
10 運命の輪
スペード ソード 神風 運命の輪
時を超え 距離を隔て 同じ終点へと向かう
引き潮 満ち潮 ジュピター 拡がる
Xを数える間に 愚者がやってくる 口笛吹いて
愛しい人間たちよ! 廻る廻る 宇宙の螺旋
巡行する星の定め 夜の海岸線に光が走る
洪水のような記憶 壮大な観覧車の幻影
見上げたサザンクロス 南極指す十字架
もうあなたの後ろ姿が見えない
日没 日の出 満月数えた 月暦
また出逢えたら 今度は 笑って花を掲げよう
あなたを悲しませるなら もう恋など しない
運命は等しく訪れる 幾千ごとの津波のように
運命の呪縛から 解き放たれよう 醒めない夢に
11 正義
波打ち際のアストライア 正義の女神 揺れるLIBRA
ねじれた時間の悲しみと 失くした愛の喜びは
永遠に釣り合わぬ定め
海を見降ろす神像 廃墟のアクロポリス
神殿の名残は白亜のカリアテッド
セルリアンブルー 裸足で歩く星の砂
大理石の円柱 対のすき間を吹き抜ける風
黄金分割 調合した香油を希釈
銀の杯に没薬の宵 午睡の乳香
右の柱〈幻想〉にくちづけ 左の柱〈律法〉に頬寄せ
赤い蝋燭に灯りを 青い蝋燭に叶わぬ想いを
バランスのつづれ織り カルマとダルマ
纏うあなたが見る夢は 遥か異国の原風景
12 吊るされた男
霧の立ち込めた森林の奥深く 吊るされた男は
覆いかぶさる流星群に 鎖に繋がれたアンドロメダ王女の姿を観た
動く大地に 目を閉じて
闇に背を向け 瞑想に耽る この静寂に 彼は何を思う・・・
嘘と真実 あなたと私
自由と隣り合わせの不安と 永遠に見つけきれない夢
優しさの裏に潜んだ エゴイストなる毒薬
浴びるような 酒の替わりに
満点の星が降り落ちる FOORISH(愚者)の末路
この地上から宇宙に還り 180度反転した世界
遂げられなかった野心と すれ違った愛が
夜の片隅で 消えていく宵
やがてくる 試練の果て 悟りの彼岸
13 死神
DETH 冥界の石榴をいかが 十三月は死の匂い
消印は 黄泉の果て
砕かれた蝶々 カオスの海へと
全て連れ行く 黒装束の騎士
変容していく過去 引き摺られていく未練の恋人
沈まない太陽 白夜 湖のほとりで
眠れない私の魂が あなたを呼んでいる
夜毎彷徨う 死の淵で 現に呼び戻す白い薔薇
未完成の肖像画 擦り切れて置いた絵筆
連鎖していく昨日の嘆き
栄光の大鎌で 刈り取る挫折は 激流の川で
やがて無になる 冥府への入り口
死の神は 白い馬に乗って 玲瓏と現われる
暁の空を緋色に染めて 時の再生を祝うように
14 節制
神々しいミカエルよ その胸に流れる
涙は誰のものでしょう
ハートのシトリン アイリスの泉 翔び立つ天使
虹彩の空を行く 雨に翼を濡らしたANGEL
水辺の花を摘み 恋の明日を占う乙女よ
願いをどうぞ叶えて 白いブーケを飾りましょう
涙の雫は 海と繋がり
きらきらと 玉虫色の 儚い恋たち
天界にも 恋はあるのでしょうか
私はその天界に恋してる ミカエルよ
静かな心の草原が 眩しい光に包まれると
極彩色の世界が 見えるという
雨上がりのアスファルトには
舞い降りてきたような 羽が落ちていた
〜以下Part3へ続く