TAROT WITH COSMOS〜M.Cタロットの詩〜part3〔15悪魔〜21世界〕
パッション 恋の原罪 茨のように絡みつく
その目の悪魔 渦巻く欲望
張りぼての仮面外せば
此処は血の底 地下室に 原色の芥子の花園
荒野の難破船 幽閉された 迷宮の砦
剥がれた壁画のドームを
顔のない堕天使が 羽のない姿で飛んでいる
懺悔の鎖と足枷 この悲しみと
溶けていく翼のダークエンジェル
螺旋階段 虚像の人影は 鏡に映らぬヴァンパイア
蝕まれていく永遠を 供に棺で眠る
色褪せたドレスのビスクドール
死ぬことなき 貴方は羨む
花を踏み 美を誇るナルシスの亡骸
掘り起こす 泥にまみれた指先の情人
16 塔
空を割るバベルの塔 落雷きらめき
崩壊する 音のない ブラックホール 溶ける 離れる フォトン(光子)が包む 闇が広がる
うたかたの夜 断崖の人生劇場
演じるピエロは白塗りの仮面
皮肉の効いた ひとり芝居
今宵のセリフは 誰に捧げようか 白紙の台本
張り詰めた感情線は
限界まで 境界をとうに超えて
下界を見下ろす 塔の天辺に 掠め飛ぶ あれは隕石
いつの日か 燃え尽きる星々
人びとは列をなして 革命の反旗をひるがえす
コントロールされた情報網
からくりの統治
踊らされるのはもうたくさんだ!と
さあ 今だ
飛び込もう 光の渦に
父よ! 神よ! と叫びながら
星屑の宙へ舞う
17 星
・・・上昇するアクエリアス
英知の美少年ガニメディウス
平原に佇む裸婦に流れる 天上の星のイマジネーション
母なるガイアに 朝の光が
赤から黄色へ 緑から青へ 白から銀色へと抜けていく
サテンにみまがう 発光する新しい皮膚の裸体
宇宙の聖水を浴び 瞑想する受容体のシンパシー
天の柄杓は北斗七星 夢を仰いだ古代の地球
コンパスと定規で 縁取った曼荼羅
新しく発見されていく 遠い星の 遠い光よ
溶け合う進化 天文科学と芸術は
純化していく意識の サイキック
反射した星の 自ら放つ輝きは
銀河を渡る 転生のファンタジー
18 月
ネオンサインの花街 沼の水面に ゆらゆらと
妖しい月が映り込む頃 異形の幽体這い出でる
瑪瑙の燭台 紫の蛍石
欺瞞と罠が充満している 草陰の細い記憶の小道
退行催眠 スカラベや無脊椎動物が 蠢く世界
私を探して時を辿る 文明の灯火
桜舞う狂乱の春 悲恋の都で 熱にうなされた
あのままそこで 目を閉じたなら 永遠の桜吹雪に埋もれて
あのままそこに 佇んでいたなら 気のふれた 月世界の住人
夢幻の樹 花は散るからこそ美しく
あとは闇夜の 煌々と照らす月
満月に吠える狼 魑魅魍魎を威嚇する犬
瓦礫の無法地帯 闊歩する姿なき影たち
19 太陽
膨大するエネルギー 灼熱の太陽の下で 君に出会う
見たことのない君と僕 太陽歴の子供と 月暦の子供
出逢い それは誕生 それは変身
表面は炎のコロナ 万物の生命育む太陽よ
金の籠で鳴くカナリアは 透けたルビーの目のアルビノ
蛹の中で異形に変わる 濡れた羽のアゲハ
光 緑 美しい地球へ羽ばたく
パラレルワールド 向日葵の庭で遊ぶふたり
姿 形 変わっても 永遠の愛と友情に
新しい周期が始まる 眩しい青 澄み渡った空と海
陽が昇る岩崖に 手を繋いで座る裸の二人は
絶対の愛に在った 夢ではない暖かい光
20 審判
雲の切れ間 響き渡るラッパの音 開いた棺 審判の時
生まれ落ちた傷痕は 海の泡になる 大天使ガブリエル
ポーラースター仰いで イルカの群れなす 海上の方舟
眠りにつく 白い朝
霧のような楼閣の 跡形もない残像
海に浮かんだ涙が 死者のもとへ漂う波音
死はひとりひとりのものではなく
回転し続ける惑星の痛み 大地と海の生命
御心のままに委ね 天国のドア開くなら
もう一度愛を 灯したい
あなたが大好きだった 同じ時代 生きていて
同じ時代 似た悲しみを
竜巻の中心のように
終わりはこんなにも 静かなのでしょうか
光に満ちた空 天上の音楽が聴こえる朝焼け
21 世界
WORLD 世界はあなたの足元に
地 風 水 火とこの生命
脈打つ 鼓動と体温のぬくもりは あなたの手の中に
宇宙の中の私 私の中の宇宙 輪廻
ガイアよ 踊ろう私は 錬金術のダンス
それは七つの海をわたる 変幻自在な精霊の舞
牡牛 獅子 鷹 天使 無限の花環の中心で
完成を祝う 勝利のダンス
さあ その翼 大いなる風が吹いて
花がひらくとき 羽ばたこう
世界が周囲を 取り巻いている
果てしない 銀河の天狼星は遠ざかり
熱帯魚のように 華麗なダンスを
地球で踊ろう オリュンポスの庭で
TAROT WITH COSMOS〜M.Cタロットの詩 完